東京駅前の商業施設「KITTE丸の内」地下1階に新規オープンしたラーメン店の工事を致しました。
昨年、改装工事を行わせていただいた千葉県松戸市にある本店「中華蕎麦 とみ田」では木をメイン材とし温かい和の雰囲気に仕上げましたが、今回は未来志向の材料として多くの可能性を秘めているステンレスを全体に使用し、和の要素を随所にちりばめました。
機能性や耐久・耐熱性に優れているステンレスをただ使っているだけでなく、ステンレスに様々な質感をつけ内装のデザインとして起用してみました。
入り口ではLED内臓の側面発光の看板と二匹の昇り鯉が出迎えてくれます。
周りにもたくさんお店が入っているのですが、ギラギラと一際目立ちます。
躍動感あふれる大きな昇り鯉は、一枚で貼っているかのように見えますが、実は数箇所に継ぎ目があります。
地下にあるため日光が入らないのですが、照明がステンレスと石に反射してここまでの明るさを出しています。
中央の席です。
ラーメン屋さんとは思えない雰囲気です。
全28席あり、1席に対して1枚ステンレスのマットが敷いてあります。
中もステンレスで仕上げ、たくさん収納スペースを確保しています。
クールな雰囲気ですが、中央の太い柱に後々「写真」や「和」の要素が入り、少しあたたかい印象になります。
ステンレスのマットは4種類あり、ランダムに配置しています。
ステンレスの仕上げ方法は、ヘアライン(長い筋目)エンボス(凹凸模様)ブラスト(滑らかなマット感)鏡面(鏡のようにぴかぴか)など色々あります。
厨房機器はフジマックさんの製品を使っています。
完成後にアクセントシールを貼りました。
メタリックなステンレスに暖かい色の桜が引き立ちます。
床は、茨城県笠間市の稲田白御影石(本店「中華蕎麦 とみ田」店主の地元の石)を使用しています。固くて丈夫です。
神社仏閣の境内の石畳などによく使われている石です。
漆喰壁と天然石の組み合わせが上品です。
中央の太い柱も2種類の天然石を使用しています。
太い柱の帯には、伝統工芸品の組子細工と江戸つまみかんざしを飾りました。
素敵です。制作過程のほぼ全て手作業で行っているそうです。
〈つまみかんざし彩野〉さんの作品です。
組子細工の文様にはそれぞれ意味があります。
青海波(Seikaiha)-波が無限の広がりを表し「人々の幸せな暮らしがいつまでも続くように」という願いが込められています。
左から順に、
胡麻(Goma)-栄養豊富な胡麻は古来から、不老不死や長生きの薬として用いられてきたことから「お客様の健康と長寿を祈る」という意味があります。
桜(Sakura)-豊作祈願、冨貴繁栄の意味があります。
麻の葉(Asanoha)-古来から「麻」は神事に用いられ、三角形にも魔除けの意味があることから、その集合体の「麻の葉」はより強い意味と美しさで日本を代表する文様です。
今回も手間を惜しまず、ステンレスと天然石を使用したこだわりの店舗を作り上げました。
「KITTE丸の内」へ行く機会がありましたら、ぜひ店内の造りも見て頂けたら嬉しく思います。